2010年1月29日 (金)

Love in action~ マザーテレサ映画祭

今年はマザー・テレサ生誕100周年ということで、東京都写真美術館ホールにてマザー・テレサ映画祭をやっています。2010年2月14日(日)まで。

初公開作品を含むドキュメンタリー7本が上映されてます。

私が観た中で、亡くなる前年のインタビューを収録した『マザー・テレサの遺言』、世界10カ国におけるマザーの活動を記録した『母なることの由来』が特に良かったです。

特に後者は、マザーが祈りの人であり、素早い行動の人であったことがよくわかります。

戦禍のベイルートに取り残された身障者の子供たちを救出するシーンがあります。

病院に行くには銃弾の嵐をくぐり抜けなければならず、誰も助けに行こうとはしなかったのです。

それでも助けに行くというマザーに、危険だからせめて休戦しないと通行を許可しないと反対の声が上がります。

マザーはマリア様に一心に祈り、「明日必ず休戦します」と言いますが、周囲はまさかそんなことはあるまいと信じません。

ところが翌日奇跡的に休戦し、餓死寸前の子供たちを救うことができたのです。

このエピソードは本で読んだことがありましたが、実際のドキュメンタリー映像でそのシーンを見て、感動しました。

マザー・テレサのように偉大なる魂を持つ人の祈りの力は強力で、そういう人が一心に祈ったことは必ず現実化すると聞いたことがあります。

祈りは創造の源に最も近いところにあり、目に見えないけれども非常にパワフルです。

私は神様の鉛筆です」とマザーは話してました。

創造の源に完全に身を委ねたマザーの祈りは、真空管の中を通る音のようであり、妨げるものは何もなかったのでしょう。

また、映画の中のマザーの言葉の中で、"Love in action"という言葉がとても印象に残りました。

大事なことは行動の大小ではなく、その行動にどれだけ愛をこめるかだとマザーは言います。

愛は慈悲、思いやりという言葉に置き換えてもいいですね。

どんなに素晴らしい行為でもそこに愛がなければ相手に伝わりません。

例えば疲れている友達に声を掛けたり、誰かにお茶を淹れてあげるなど、日常の一つ一つの行動に思いやりをこめることができたら素敵ですね。

マザーの出生占星図を作成したところ、地の星座が最も多く(10天体中6つ)、太陽星座は乙女座です。

地の星座は現実的で、物事を安定化させる性質があります。

乙女座のテーマは、目の前の人に具体的に役に立つことです。

貧困や病気や災禍に苦しむ人々を前にして、現実的に何が必要か考え、行動したマザー。

路上で瀕死のホームレスの人を施設に連れて行き、その人の宗教に従って穏やかな死を迎えさせたマザー。

具体的」というのが、相手を思いやる、愛をこめることにもつながっている気がしました。

映画祭はバレンタインまでやっているので、是非行ってみてください。

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2009年11月15日 (日)

THIS IS IT

映画『THIS IS IT』を観ました。

しかも今週2回も!

『THIS IS IT』は、マイケル・ジャクソンの最後のコンサートになるはずだった、ロンドン公演の100時間にもおよぶリハーサル映像を編集したものです。

音は別録音のものも混じっていると思いますが、本物のコンサートを見ているような臨場感がありますよ。

木の枝のように細い体で、確かに体調は万全ではなかったと思いますが、間もなく死ぬ人にはとても見えない。

若いときほど激しく動くわけではないけど、リズミカルに動く体、まるで空中に漂う音をキャッチするように発声される歌声。

ジャクソン5のマイケル坊やに宿ったプラニック エナジーは死の直前でも変わらずそこにありました。

まるで芸術の神様の光の柱がマイケルに集中的に降りていたかのような人生でしたね。

生身の体を持った身に多大な負担が掛かるのも当たり前だなぁと思いました。

薬や注射を常用していたようですが、自然療法で体を癒す時間と余裕があれば、と残念でなりません。(一説によると自然療法での治療も模索していたようですが・・・)

生前は誤解、曲解されることが多かったマイケル。

影響力が強い人であればあるほど、周囲は表に出ているほんの一部分しか見ないですよね。

私も彼の音楽は好きでしたが、正直言うと奇人変人のカテゴリーに分類していました。

整形や幼児虐待疑惑、ネバーランドや莫大な借金・・・

事実のこともあったろうし、真実は別にあったこともあるでしょう。

包み紙が派手だと、中身がどんなものかを知るのを忘れてしまうんですね。

マイケルってこんな側面があったんだ。とか、こんなことを世界に伝えたかったんだということが映画を観るとビンビン伝わってきます。

映画の中のマイケルは、オーケストラの指揮者のように音を操り、ファンが求める作品を真摯に創造しているクリエーターです。

マイケルは乙女座とのことですが、性格的には生真面目で実務型だったのでしょう。

スタッフに接する姿は本当にジェントルマンで、思いやりにあふれています。

何か要求を言うときも、「怒っているんじゃないんだ。L・O・V・E 愛から言っているんだよ」と静かに伝えます。

リクエスト通りの音を出したミュージシャンには、"God bless you!" と感謝します。

映画の中で、マイケルが腕を水平に広げ、胸を突き出しているようなポーズをしているシーンが何回かあります。

広げた腕が天使の羽みたいにスッと伸びて美しい。

これは肩甲骨の周りの筋肉が柔らかくないとできないし、ハートが開いていないとできない姿勢です。

開っきぱなしだと剥きだしの自分を外の世界に晒すことになるので、恐怖を感じる人も多いです。

ほとんどの人は社会生活を送る中で状況に応じて開いたり閉じたりしているのではないでしょうか。

ヨガのティーチャーズトレーニングで習いましたが、何かショックなことがあると、脳の視床下部からショックに対応するためのホルモンが出ます。血管や神経は収縮し、心臓はきゅっと縮こまります。

そういうときって背中をまるめてハートを守るような姿勢になりますよね。それが固まってしまうと、心は落ち込んだまま、愛を感じたり、愛を送り出すことも難しくなります。

どんなに辛いことがあってもマイケルはハート全開だったんですね。

マイケルは音楽を通して愛すること、愛されることの素晴らしさを伝えに来た天使だったのかもしれません。

THIS IS IT を観ているときはマイケル並みにハートチャクラが開くので、涙が止まらない、拍手が止まらない111分です。

"Love lies forever"

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2008年4月 8日 (火)

映画『ダージリン急行』

ウェス・アンダーソン監督の映画『ダージリン急行』を観ました。

父を事故で失って以来疎遠になっていた3兄弟が、ダージリン急行という架空の電車に乗ってインドをヒーリングジャーニーする話です。

この兄弟はルックスが似ても似つかず、性格もバラバラ。Darjeeling1

それぞれがクセのある濃いキャラで、本当に兄弟!?という印象です。

長男フランシスはマニュアルどおりに進まないと気がすまない仕切り屋。

今回の旅は事故で瀕死の傷を負った彼が一念発起、「自分自身を取り戻す旅」をするため兄弟に召集をかけてスタートしました。

次男ピーターはできる妻の尻に敷かれて、大人になりきれてない感じです。

『海の上のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが演じています。細い顔に父親の形見のでっかいサングラスが似合ってなくて可愛かったです。

ノーブルじゃない役も面白く演じられる人だと思いました。

長男と次男は、父親の形見のベルトの所有権や、どちらが父親の一番の息子だったか、など子供っぽいことでことごとく衝突します。

この2人の間に立つ羽目になる三男ジャックは一匹狼。売れない私小説家です。

映画の本編に入る前に、『ホテル・シュヴァリエ』というショートフィルムが流れますが、お行儀の悪い昔の恋人(ナタリー・ポートマン)に翻弄されるジャックの話です。

三男を演じるジェイソン・シュワルツマンは『マリーアントワネット』でルイ16世を演じました。この映画の共同脚本もやっています。アンダーソン監督、脚本のローマン・コッポラと3人で同じようにインドを鉄道旅行し、そのときのエピソードが映画にも盛り込まれているそうです。

行き先がなぜインドかというと、行方不明だった母親がヒマラヤの寺院で尼僧になっていたことを知ったからです。(この事実は最初は長男だけの秘密です。)

母は勝手気ままに生き、父親の葬儀にも参加しなかった、いわば育児放棄をしたような人です。

亡くなった父親はどんな人かあまり描かれていませんが、母親の不在の分、兄弟に愛情を惜しみなく注いだようです。

兄弟姉妹って家族という同じコンパートメントにたまたま乗り合わせた他人のようです。

両親のどちらかが運転士と車掌で、「出発進行!」と列車は進み、子供たちは降りる駅に着くとバラバラと降りていく。

運転士と車掌が(バラバラにでも)どこかで列車を走らせていたら、また乗り合わせることもあるけど、日常の忙しさに流されてそれもなかなかままらないことも多いですね。

私の場合は兄2人がそれぞれ13歳、11歳年上なので、一緒に暮らした時期が短く、あまり交わる部分がありません。正面から愛情を表現するにはちょっと気恥ずかしい相手です・・・

この兄弟はダージリン急行に乗らなかったら、絶交したまま一生会わなかったかもしれません。

もう舵取りがいなくなった家族という列車に再び乗ってみようか、乗ったら何が変わるんだろうという不安も兄弟たちの表情に見え隠れします。

父親の形見という、ファミリーネームのイニシャル入りの大小さまざまなトランクを抱え、3人は旅に出ます。

そういう意味で失われたつながりを取り戻す旅のようでもあり、新たな絆をつむぐ旅のようでもあります。

彼らは行く先々で聖地を訪れ、小石を積み上げたり、鳥の羽を空に返したりして、変わった儀式やイニシエーションを行います。

長男は「自分自身を取り戻すため」と大真面目で。次男と三男は嫌々ながら、訝りながら。

この辺が滑稽でおかしかったです。

インドの寺院、雑踏のマーケット、サリーを羽織った美人の客室係、列車の中でガラスのコップで供されるティー、砂丘での立ち往生、偶然出席することになった地元のお葬式 など、色彩豊かな映像に、ぐいぐい引き込まれます。

さて、彼らはママに会えるのでしょうか。和解は訪れるのでしょうか。

ラストシーン、マーク・ジェイコブズがデザインしたというルイヴィトン製のオレンジ色のトランクが花びらのようにホームを舞います。

1個1個、心の荷物が軽くなるようなエンディングです。

「この映画を観てサントラを欲しくならない人がどこにいる?」とどこかの評論家が書いていましたが、私も買ってしまいました。

インドの音楽のほか、ザ・キンクス、ローリングストーンズといった60年代のブリティッシュロック、ドビュッシーの月光やベートーベンのクラシック、オーシャンゼリゼの軽いメロディーが織り交ぜになって各シーンを彩ります。

ザ・キンクスの"Strangers"を聴くと、列車の窓から顔を出して風に髪をなびかせたくなってきます。

60年代、70年代の音楽に詳しい、私のストレンジャーの兄に久しぶりに連絡を取ってみたくなりました。

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2006年9月27日 (水)

映画『イルマーレ』を観て

秋雨が肌に冷たく、珍しくメランコリックな気分になった。

そういうときは熱いお風呂に入って喝!を入れるか、一人で映画を観て思いっきり涙を吐き出すか・・・

今夜は用事をキャンセルして後者をチョイス。

Ilmale_1 『スピード』の名コンビ、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの、『イルマーレ』を観た。

お天気の悪い平日の夕方だから観客は少ない。

この映画、2000年に公開された韓国の同名映画のリメイクだ。

韓国版では、海辺の一軒家が舞台だけど、ハリウッド版では、シカゴ郊外の湖畔になっている。

キアヌ、サンドラは二人とも生粋のWASPじゃないのが、アメリカの多様性の象徴だな。

キアヌのパパは中国人とハワイ人のハーフ。ママはイギリス人。

彼の黒くてちっちゃい目は、ハワイのネイティブの姿が重なる。腰蓑付けて、ハワイの神に踊りを奉納しているキアヌを見たい!

サンドラはドイツ育ちらしいけど、あの黒髪はラテン系?だったかな。

映画の中のキアヌ、42歳という年齢が等身大に出ている。

でもかっこいい。やっぱり大好き。

この方は、映画の役作りで痩せると、クランクアップ後に小太りになってという繰り返しだった。ついに、デフォルトがふっくら顔になったのかな?

さて、ストーリーは。(以下、エピソード的にネタバレしていますので、ご注意)

キアヌ扮する建築家のアレックスは2004年の今を生きている。

サンドラ扮する医者のケイトは2006年の今を生きている。

そんな二人が恋に落ちた。

二人の「今」は、二人が時期を違えて住んでいた、湖の上に建つガラス張りの家の郵便ポストで共時的にクロスした。

郵便ポストに手紙を入れると、2年後から、2年前から返事が瞬時に届く。

まるでリアルタイムにチャットしているみたいに。

メールじゃなく、手書きっていうのがいい。

飼い犬まで共有していることがわかって・・・あり得ない話!

何故っ?っていう仕組みは映画では解説されていない。

この映画は『バック トゥ ザ フューチャー』ではなく恋愛ものだから、その辺は流しちゃって。

「土曜日に一緒にシカゴの街を散歩しよう」とアレックスがポストにシカゴのお散歩マップを入れると、2年後のケイトが受け取る。

そして、同じ地図を見ながら一緒にシカゴ巡りをするという胸キュンなシーンがある。

散歩中、路上の壁にアレックスが書いたケイトへのメッセージが画面一杯に映る。

確かにお互いが存在していることを確認し合う。

2004年のアレックスが2004年のケイトに会いに行かないの?と思っていたら、会うんですね。これが。

2004年のある日駅のベンチに父親の形見の本を忘れたことを思い出したケイトは、アレックスに本を取りに行ってくれるように頼む。

指定された時間に駅に行くと、当時の恋人と別れを惜しむケイトの姿が。

ベンチに本を残して電車に乗り込むケイト、本を手に取ったアレックスはケイトの姿を垣間見る。

君がこんなに美しいひとだったなんて・・・

そのほかにも、実際に会話を交わすチャンスがある。

でも、どうしても、同時空で会いたいと願った彼らは、待ち合わせの手紙をポストで交わす。

出会える? 出会えない? さぁ、どっち!?

映画冒頭に、「あ、そういう展開?わかっちゃったよ~」というシーンがあるけど、その予想が当たるかどうか、最後までわからない。

秋から冬、そしてバレンタインデー、初春に至るシカゴの街もとても美しく撮られている。

イリノイ州の州都、五大湖を抱く街、古い時代の話だとギャングの街というイメージしかなかったシカゴ。この映画を観て一回行きたいなと思った。

はっきり言って、そんなに泣ける映画ではないけど、ちょっとバイオリズム的に不安定だった私は途中から泣きなきナキ。はぁ、すっきり。

しかし、瞼と鼻は大変なことになっていた。恥ずかし~い。

ポール・マッカートニーによるエンディング主題歌 "This Never Happened Before"を最後まで聴いた後、他の観客さんがみんな出たのを確認して、さ~っとお手洗いに滑り込んで顔を直した。

Canalcafe 湖畔の家じゃないけど、水の上の雰囲気を味わいたいときは、飯田橋の Canal Cafe へ。

風がスーっと吹くとお堀に浮いているみたい。

帰宅する人たちを乗せた中央線を眺めながらの誰そ彼時がお勧め。

ケイトの愛読書、"Persuasion" Jane Austin 著を片手にどうぞ。

この本も、「待つこと」「時間の空白」がテーマ。

タイミングが合わずに一度別れて、時間が経って再会する男女の物語、らしい。

読んでないけど。

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2006年6月10日 (土)

嫌われ松子の一生

映画、『嫌われ松子の一生』を観た。

Madoroma_4♪曲げて伸ばしてお星さ~ま つかもう♪

松子の歌声が耳から離れない。


お星様を掴むように愛されることを追い求め、愛しすぎて得たものは、「一人ぼっちより殴られた方がまし」という人生。


・・・でも本当は愛されてたのにね。

悲惨になりすぎないのは、コミカルな歌と踊り、きらびやかな花々が画面を飾るから。
CGはちょっとうるさいかな?
ビョークの『ダンサーインザダーク』をちょっと思い出した。(こっちの方が悲惨でつらいけど)

中谷美紀さん、よかった。
きっと今までの恋を栄養にして大きくなるタイプの女優さんなのね。
伊勢谷友介さん、初めていいと思った。
今までは線が細い印象が強かったけど、信仰に目覚めるちんぴらを骨太に演じてた。

Matsuko_2 オフィシャルホームページで、『嫌われ○○の一生』と自分の名前を入れて壁紙を作成できるソフトをダウンロードできる。

自分の名前を入れてつくってみたけど、出来上がりを見たら苦しくなって消してしまった。

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2006年3月24日 (金)

映画☆かもめ食堂☆

銀座シネスイッチで『かもめ食堂』を観た。Ryokan

フィンランドの首都ヘルシンキの食堂がこの映画の舞台。食堂のオーナーは小林聡美さん演じる日本女性だ。

デパ地下で買ったおにぎりを映画が始まる前に頬張ったはずなのに・・・

この映画を観たら、

網で焼いたアツアツのシャケが入ったおにぎりが食べたくてたまらなくなった!
あと、入れるときに呪文を唱えるとおいしくなるコーヒーも。
人においしく飲んでもらいたいというハートが大事なんだって。

もたいまさこさんが一言発っするごとに、ドっと笑いが起きた。
『やっぱり猫が好き』フリークの方はニヤリとする場面も。

白木のテーブルにiittalaの縞々(ORIGOシリーズ)のカップやシュガーボウルが映えていた。 北欧雑貨フリークも楽しめる映画だ。

幸せはひとそれぞれ。

自分のペースで見つけていけばいいんじゃないかな?
そんなことを改めて感じた。

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P.S. 上演40分前に行ったのにもう長蛇の列で立ち見宣告を受けた。
お茶して時間つぶして次の回を見る羽目に・・・
整理券を配ってないから週末は1時間前には行った方がよいかも。
4月1日から恵比寿ガーデンシネマで上映するらしい。
初日の最終回に出演者舞台挨拶。も一回行こうかな~

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2006年3月15日 (水)

命短し恋せよ乙女★「生きる」

命短し 恋せよ乙女  赤きくちびるあせぬ間に  赤き血潮の冷えぬ間に

~「ゴンドラの唄」吉井勇作詩 中山晋平作曲

Ume1 大正時代に女優の松井須磨子が歌って大ヒットしたというこの曲を聴きたくて、黒澤明監督の『生きる』を観た。

高校時代に一度観たことがあるのだが、死期を悟った主人公が、雪の降る公園でブランコを漕ぎながらこの歌を歌うシーンが非常に印象に残っていた。

以来十数年、カメラのシャッターを押したみたいにそのシーンが私の心の引き出しに収まっていた。

曲がり角に来る度、眺めてみる一枚の写真のように・・・

宇宙の誕生から今までをメジャーで図ったら、人の一生ってナノメートル単位になるんじゃないかな? 

そう考えると人生って短い!

『生きる』の中に出てくる主人公は、市役所の市民課長。

(演じるのは黒澤作品の常連の名優、志村喬。『七人の侍』や『羅生門』にも出演しているが、目がクリっとした可愛いオジさんです。)

若い頃の血潮は役所の官僚主義とセクショナリズムにスポイルされ、今は「時間を潰しながら」眠っているように生きている。

市民が陳情に来ても、「あれは土木課」、「これは公園課へ」とハンコを押すだけ。

そんな男が胃癌になり(当時は癌=死だった)、ヤケクソになって夜の街をさまよう。

男手一つで育てた息子も嫁の言いなりで頼りにならない。

Someinotsuki_3 七転八倒する中で若い女性に、「何故君はそんなに生命力たっぷりにイキイキしてるのかね」とすがりつくように問いかけると、

「あら、私はただ食べて働いて。それだけよ。」「でも工場で子供のオモチャを作ってるときに生きがいを感じるわね」

それを聞いて、Bingo! と悟った彼は、長年保留になっていた公園建設計画を実行しようと奔走する。

死を目前にして冬眠から覚めたかのように。

ぞっとするような官僚主義の壁にぶちあたりながらも、愚鈍なまでの粘りでやっと公園は完成する。

そして雪の舞う夜、公園でブランコを漕ぎながら、永遠に目を閉じる。

「命短し 恋せよ乙女・・・」

ささやかだけど、生きた証を手にした彼は微笑みを浮かべていた。

「生きる」って、時間をやり過ごすんじゃなくって、「Do」なのね。

自らDoしてCreate するからこそ人は生きる。

自分の中の空漠感を何で埋めるか、という話になったとき、私の友人は一言。

「行動じゃない?」

全くもって同感です。

P.S. 蛇足だけど、主人公の葬式のシーンがかなり面白い。

公園のシーンで終われば、ただの美しい話だけど、世界のクロサワはそこでは終わらせない。

役所の仲間たちが、「なぜあの人はあんなに人が変わったように前向きになったか」について口々に語り合う。

揃いも揃って、長いものには巻かれろの日和見主義、ご都合主義、権威主義。

「個人の功績なんてものは役所では存在しない」、「役所っていうのは何もしないことが仕事」と胸を張る面々。

お役所って未来永劫変わらないのかしら?とむなしくもなるけど、パンドラの箱の底に残ったヒトカケラの「希望」を信じたくなるラストシーンは爽快!

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2006年2月21日 (火)

映画ウォーク・ザ・ラインに見る同士愛

映画、『ウォーク・ザ・ライン』を観てWalktheline

親友であり、同士であり、母であり、恋人であり・・・そういうオールマイティな女性を男性は手放せないのだろうか。

今はコーンウォール公妃の称号を持つ、チャールズ皇太子の奥様、カミラさんもそういう人であるらしい。どう見ても、故ダイアナ妃の初々しさと、お世辞にもお美しいとはいえないカミラさんとを比べると、チャールズ皇太子のご趣味に首を傾げずにはおれなかった。

あの有名な電話盗聴事件でもわかるとおり、チャールズ皇太子はカミラさんにメロメロだったらしい。あるときは乗馬や狩猟などの共通の趣味を楽しめる親友、あるときは恋人、あるときは暖かく迎えてくれるお母さん。

夫にこんな女性の友人がいたら、妻は恐怖におののくだろう。

だって、家庭を経営していかねばならない妻が、夫と同志的な友情を育むのはかなり難しいから。夢を語る前に、目の前の請求書を片付け、子供を食べさせなければならない。

さて、アカデミー主演男優賞&主演女優賞受賞は必至という呼び声が高い、『ウォーク・ザ・ライン- 君に続く道』 でもそんな三角関係が描かれている。

1950年代アメリカ、エルヴィス・プレスリーと同時代に活躍した伝説のロカビリー歌手 ジョニー・キャッシュと、彼を支え続けた女性歌手、ジューン・カーターの愛の軌跡。

ジョニーには売れない時代を支えてくれた糟糠の妻とかわいい娘がいた。一方ジューンは2度の不幸な結婚を経たシングルマザー。

今でいうとW不倫だが、音楽への情熱が二人の絆を深めていく。
でもすんなりハッピーエンドにはならず・・・ 同士女の抑制の効いた愛情表現が切ない。

離れてはクロスする彼らの人生。その後どうなったかは、映画を観てのお楽しみ♪

題名になっている、"Walk the line" は、ドラッグと酒に溺れるジョニーにジューンが叩きつける言葉だ。
「まっすぐ歩きなさいよ!= しゃんとしなさいよ!」という意味だが、この場合、酔っ払って千鳥足で歩かないでよ!というニュアンスも入っていて面白い。

ジョニーを演じるのは、早世したリバー・フェニックスの弟(顔は似てもにつかないが)のホアキン・フェニックス。
ジューン役は、『キューティーブロンド』で、お馬鹿な女子大生が弁護士になるサクセスストーリを好演した、リーズ・ウィザースプーン。

歌は吹き替えなしということだけど、リーズの声は本職のカントリー歌手のように素晴らしい。

劇中、ジョニー・キャッシュには優秀なお兄さんがいる。父親は兄の方を溺愛し、弟のジョニーを疎んじていた。この辺は、ジェームズ・ディーンの『エデンの東』を髣髴させる。

そういえば、ホアキン・フェニックスの兄、リバー・フェニックスの遺作となった、『愛と呼ばれるもの』 は、テネシー州ナッシュビルが舞台で、カントリー歌手の男女の愛を描いている。ホアキンの熱演はリバー兄へのオマージュだろうか。

ラブストーリーが苦手な方も、ライブのシーンは楽しめるはずだ。全編の半分くらいが歌、歌、歌。キャラバン隊のように街から街へ移動していくツァーメンバーには、若かりし頃のエルヴィス・プレスリーの姿も。

刑務所で囚人を前にして歌うシーンは圧巻! 囚人たちが作業靴で踏み鳴らすビートをバックに力強く歌うジョニー。生録で製作したレコードは、当時、ビートルズより売れたそうだ。

映画を観終わった後、誰もいない道を顎を上げて、Walk the Line !そぞろ歩きしながら家路についた。

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2006年1月19日 (木)

歓びを歌にのせて その2

前回に引き続き、映画、歓びを歌にのせて について少々。

Yorokobi_movie_2 この映画との出会いには、天使のお導きがあった気が。(ほんとかニャー(≡゚∀゚≡))

坐骨神経痛の痛みに耐えかね、家事もままならず、運動もできず・・・ほとほと困り果て、ある晩、唐突だけど、天使様にお願いしてみた。「あーもう。降参です。どうにかしてくだちゃい(*´д`*)」

お願い事を真っ先に聞いてくれたのが音楽の天使さんだったらしく、その翌日から歌、歌、歌のシンクロ嵐。

大学の先輩に引きずられるようにして10年ぶりにカラオケに行く羽目に。そう、私音痴だから、カラオケは避けてたんです。そしたら意外と楽しいじゃない!ビートルズの She Loves You, Yeah, Yeah♪ なぞを歌い、気が付けばもう明け方。

その翌日の夜、テレビでやってたのがウーピーゴールドバーグ主演映画、「天使にラブソングを」 。歌の力で荒れてた子供たちも心が一つに。あぁ感動。

またその翌日、前回も書いたように、「歓びを歌にのせて」の試写会のチケットが舞い込み・・・

映画の中には、しょっぱなから天使の羽をつけた女の子が登場。主人公の指揮者が住む廃校となった小学校には天使の壁画が・・

これはもう、シンクロニシティとしか思えないでしょう! 考えてみると、歌う→腹式呼吸Must! →腹筋および骨盤底筋を鍛える→患部付近の筋肉がパワーアップし、天然のコルセットが完成→ ぎっくり再発防止へ

おまけとして、歌が上手くなる、ストレス発散して前向きになる、ぽっこりお腹がシェイプアップ etc. もういいことづくめじゃありませんか!

早速、「ヴォイストレーニング」でググって、近所の音楽スクールを見つけて入会しました。

歌の先生は今流行のバランスボールを使った、骨盤矯正トレーニングのクラスもしているそうです。

最初の課題曲は、「歓びを歌にのせて」の主題歌。世里奈さんという歌手が歌う、日本語訳詩の歌があるんです。

うちにいる、音楽の天使(上の写真)がニヤリ(・∀・)と笑った気がした。

この絵はフィレンツェのサンマルコ修道院で購入した水彩模写。受胎告知のフレスコ画で有名なフラアンジェリコの「音楽の天使」の一部です。

そういえばこの絵の額装したお店の中も天使が一杯だった゚・*:.。. .。.:*・゜

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2006年1月17日 (火)

歓びを歌にのせて その1

腰痛のリハビリのために始めたヴォイストレーニング。

きっかけはこの映画! 歓びを歌にのせて

都内では渋谷のBunkamura で上映中です。特に音楽好きな人には超オススメ。

最初に観たのは昨年12月の試写会。会社の同僚のRyoちゃんが、ランチで行きつけのお店の店長さんから試写会チケットをゲットしてきてくれました。

映画の主題歌をカバーした世理奈さんと、子供聖歌隊のクリスマスコンサート付き!

なーんか、カメラマンが多いなあ思ったら、あのブログの女王 眞鍋かをりちゃんがサンタクロースのコスプレで飛び入り!

彼女、痩せてかわいくなったよね。赤いミニスカートから細っこい白ブーツの長い足がニョキ!(相変わらず腕は太かったが。はい、人のこと言えませんΣ(゚ー^;*))

さすが横国出身。頭の回転も速くて、コメントも当意即妙でした。

今思うと、この試写会が私のプチ転機になったようです。観終った後、「歌いたい!」っていう魂の叫びがこみ上げてきたし、ブログの女王に刺激されて、ココログでブログ始めたし。

さて、映画について。スウェーデン映画でアカデミー賞外国語映画部門にもノミネートされてます。

持病の悪化で図らずも引退した天才指揮者が、故郷の小さな村の聖歌隊を指揮するというストーリー。

総括するなら、「個の再生と強烈な自己肯定」がテーマでしょうか。でも、昔流行った視野の狭いミーイズムじゃないの。個と個が融合したハーモニーの素晴らしさに感動した。

舞台は教会を中心とした狭い共同体だから、宗教的な因習もあるし、タブーもある。夫に抑圧された妻もいるし、小さい頃のイジメの構図を大人になっても引きずっている人間関係もある。自分の気持ちに正直に人を愛していると、性に奔放な女と非難されたり。

共同体の境界を越えてやってきた指揮者は、「一人ひとりが音色、トーンを持っている」ことをなかばアジテートするように生徒たちに説いていく。音楽はすでにそこにある、あとはつかむだけだ!と。各人の音色が織り上げる美しいハーモニーの中で、生きることをもういちど自分の手につかみなおしていくメンバー。でも急激な変化は周囲に波紋を呼び・・・・

また、歌がいいんです! 夫からのDVに苦しんでいた女性が初めてのコンサートで「私の人生は私のもの」と高らかに歌い上げる主題歌。この歌を今、ヴォイストレーニングで練習中です。

スウェーデンの人っていろんな顔してるのね。オリビアニュートンジョンみたいな人(上の写真)や、海賊のビッケ(知ってる?)みたいな人も出てくる。スウェーデンに住んでたTちゃんも言ってたけど、スウェーデン語って北の言葉の割りに耳にやさしいんです。

あらかじめお断りしておきますが、「痛いシーン」がけっこう出てきます。ただの感動ものでは終わらないリアリズム。北欧ならではかな?

試写会終わって場内拍手が起こったのは初体験! また、涙が鎖骨に溜まったの映画は久しぶり。アイスランドの歌手のビョーク主演の「ダンサーインザダーク」と「千と千尋の神隠し」以来です♪

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